続・俺様専属メイド!?
「杏が今、苦しくて一番泣きたいってこと分かってる。なのに、何で俺の前でも無理して笑うんだよ」
腕に力が込められるのが分かる。
翔の心の叫びが聞こえてくるよう。
「泣けよ。俺の前では強がるな。全部受け止めてやるから」
その言葉に、さっきまで我慢していた涙がいっきに溢れてきた。
翔にしがみついて、声を押し殺して泣く。
いきなり帰ってきて、どうしたらいいか分からなかった。
でも、みんなが怖がってるからあたしがしっかりしなきゃいけなかった。
長女だから。
あたしがみんなを守らなきゃいけないから。
本当はあたしも泣きたかった。
貯金も全て使われてこれからどうすればいいのか分からない。
不安しかない。
「よく頑張ったな」
優しい声で言われた言葉は、あたしの心に光を灯すものだった。