続・俺様専属メイド!?
杏を後ろの座席にそっと置いて、俺は助手席に座る。
そして杏の父親の運転で進みだした。
「仕事の車だから臭いだろう?ごめんな。絶対翔くんは自分家の車で帰った方が……」
「お父さんと話したかったからいいんですよ」
俺の言葉に一瞬こっちを向くけど、すぐに運転に集中するよう前を向く。
ちらっと覗き見ると、頬が緩んでいた。
「さっき、1つ間違いがありました。杏とは今は付き合ってないです」
「え?」
「俺が成長できるまで待っててもらってるんです。今はお互いに将来のために頑張ってる時期で」
「……俺はそんな娘から金を盗んだのか」
初めて見た時とはずいぶん印象が変わるな。
まるで別人だ。
盗むことに何とも思ってないような感じだったけど。
「俺さ、別に家にはいつでも帰れると思ってたんだよ。父親はよく大黒柱って言うくらいだし、俺が一番強いんだって」
言葉とは裏腹に呆れたような声音をしている。
そのままハハッと乾いた笑いをした。