課長の独占欲が強すぎです。
 
***
 
 小夏と出会って1年。

 俺は今でも全力で彼女を追いかけ続けている。たとえどんな些細な瞬間でも逃がしたくなくて。

 あの日、俺の胸に飛び込んで来た世界で1番可愛い存在を、永遠に捕まえておくために。



「小夏、こっちへ来い。俺の膝に座れ」

 今では腹に俺の子を宿し妻となった小夏にそう呼びかければ

「もう、和泉さんの甘えんぼう。家事が進まないじゃないですか」

 不満そうに言いながらも、嬉しそうに膝の上にやってくる程には懐いた。

 ——俺の可愛い小夏。絶対に離すものか。

 抱きしめる度に湧き上がる独占欲は男の本能だ。きっと一生消える事などない本能に、これからも俺は従って生きていく。

「お前は本当に愛しいな、小夏」

 心から湧き上がる想いを口にすれば、小夏は微笑み顔を見上げて瞳に俺を映した。

 ころりころがってきたあの時と同じように、俺の胸の中で。



*おわり*
 
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