課長の独占欲が強すぎです。

「橘」

 食べるのも早ければ飲むのも早い宍尾さんが、あっと言う間に飲み終えた牛乳パックを片手で潰しながら私を呼び掛ける。……なんか恐いんですけど。

 「なんですか?」と弱々しい声で聞き返せば、端整な顔が難しそうな表情を浮かべてこちらを向いた。
 
「海は好きか?」

「海……ですか? まあ、好きですけど」

 いったいなんのアンケートだと不思議に思いつつ答えれば、彼の発した次の言葉に私は更なるクエスチョンマークで頭を埋めてしまう。

「そうか。ならば5日に行くぞ」

 果たして。この短い科白を的確に理解し納得できる人がこの世に何人いると云うのだろうか。

 まったくこれっぽっちも理解出来なかった私は、ただキョトンとした表情を浮かべて宍尾さんを見つめ返すばかりだ。

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