「離れるの禁止って、言ったよね……っ」



まだ、青だったのに。




「……………っ!」



自分の焦る吐息と、鳴り続けるクラクション。


女の子の息すら、聞こえない。




ぐいっと、力ずくで引っ張った彼女の襟。


その子をオレの方へ引き寄せられれば何でもよかった。




__ただただ必死で強引に。


見ず知らずの彼女を、助けるためだけに。




『……………………っ、』




その後聞こえたのは彼女の息の音と、


通り過ぎる車の音。





「…今は、離れんな………っ」





___抱き締めた時の、オレの声だけ。












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