片道切符。


しかもその女の子が着てる制服、ここらじゃ有名な進学校の女子高のものだ。

俺と同じ高校の女子だったら『悪いな』くらいで笑って済むかもしれねーけど、

女子高・・・そうそう簡単にいかねーだろ。

その”女子高”って言葉の響きだけで、クソみたいな学校の俺たちとは住む世界が違うような気さえしてくる。


「ほんっと、ごめん!!!」

電車なんかもうどうでもいい。

ただ平謝りしながら、俺は女の子の目の前に回った。


「いてて。あ、でも、全然大丈夫ですか…ら…?」

視線と視線がぶつかって、一瞬、俺のなかの時間が止まった。


「あ、あの…?」

目の前の彼女の瞳が、不安げに揺らぐ。

そこではっと俺は我に返った。


「あ、ごめん。ほんとごめん!」

「大丈夫ですよ。全然。」

「ケガとかしてない??どっか痛いとこは???」

「気にしないでください。ほんと大丈夫なんで…」


このときの彼女、俺の必死具合に少し引いてたんじゃないかなってくらい

俺はテンパってたし、焦ってた。

彼女のことを傷つけちゃいけないって、初対面のくせにおかしいけど、そう思ったんだ。

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