公園であいましょう
(39)

 井倉翔太では、我が社の着物を着こなせないとコメントされ
 着物ショーからはずされたニュースは、またマスコミを賑わし
 それにあわせて、無責任な井倉翔太批判がおこったりし
 ますます佐倉くんとは、連絡がとれなくなった。

 そんなある日、私は相沢さんから呼び出された。

 少し遅れて足を踏み入れたホテルのカフェラウンジに
 相沢さんはすでにいて、優雅に紅茶を飲んでいた。



   「お話はなんでしょう。」


 相沢さんの前に座り、私は固い声でそうきりだした。



   「あなた、佐倉くんとは親しくしてらしたでしょ。」
   
   「.................。」

   「私、残念でたまりませんの。このまま佐倉くん、いえ
    モデルの井倉翔太がダメになってしまうのを見るのが。」

   「.................。」



 無反応な私に相沢さんは大げさなため息をつく。



   「私なら、今の佐倉くんを助ける事ができますわ。
    なのに、佐倉くんは素直に私の援助をうけとろうと
    しませんの。だから、、、。」



 そこまで言って、相沢さんは言葉を切ると、
 私にむかって微笑んでみせた。



   「あなたから言ってもらえないかしら。
    意地っ張りはやめて、私の言うことを聞くようにって。
    そうすれば着物ショーにも復帰できて、すべて元通り
    ですわ。」

   「なぜ、私が?」



 そう聞くと、彼女は顔をしかめて、ぷいっと横を向いた。



   
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