公園であいましょう
(40)

 あまり広くないバーの中には、着飾った人たちが飲み物を手に
 立ち歩いたり、かたまって話したり笑ったりしている。

 私は壁にそうように並べられた椅子のひとつに座り
 そんな人たちをまるでテレビか何かを見るように見つめていた。


  (場違い、、、)

 その言葉が、さっきからずっと私の中で回っている。

 慣れない高いヒールの靴で痛む足をそっと擦りあわせていると
 ポンと肩をたたかれて、私は顔をあげた。

 そこには、私をみてやさしく微笑む佐倉くんがいて、、、。




   「疲れた?」

   「ううん、大丈夫。」

   「もう少ししたら抜け出そう。」

   「えっ。」

   「最後にもう一度、岩間さんにだけは、二人そろって
    あいさつにいかないとな。」


 そういって佐倉くんは、私の手をとり立ち上がらせると
 そっと背中をおす。

 そして二人で、出版社の人らしき人と談笑している岩間さんのところに
 歩いていった。



   「おやおや、噂の二人がそろっておでましだ。」


 今度の写真ののった雑誌の出版社の社長さんが、
 私達二人を見て言った。

 今日私は、その出版社の主催した小さなパーティーに
 呼ばれてきている。

 どうしてこんなところに私がいるか、というと、、、。

 
 それは、ホテルのカフェラウンジで、相沢さんと言い合いをした
 後、真島さんと岩間さんに出逢ったことが始まりだった。
< 142 / 147 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop