公園であいましょう
(9)
 佐倉くんに ”つきあおう” と言われてから、一ヶ月がすぎた。

 その間、私達は、相変わらずあの公園で逢っている。
 そう、それのみ。


 ”つきあおう” と言われて、”男女のおつきあい” が
 どんどん先にすすんでいったら

  
  (どうしよう、、、)


 と不安には思っていた。
 だって、私は、今まで、一度も、
 ”男女のおつきあい” なるものをしたことがない。

 だから、変わらない佐倉くんに、ほっとするような、、、、
 なんか、、、、、その、、、、物足りないような、、、、。

 
 チラリと、よこに座る佐倉くんを見る。
 いつもと変わらない、穏やかな笑顔。
 うん、佐倉くんだ。


   
   「あっ、そういえば、きのう図書の整理をしていて
    こんな本をみつけちゃって。」


 
 私は、”GREAT BLUE" という題名の写真集をとりだして
 あるページをひらいて見せた。

 
 そこには、青い海と青い空がひろがっている。
 どこまでも、深い深い青。
 写真集をかたむけて、ぎゅっとしぼったら
 青い水が滴りおちてきそうなほどの圧倒的な青さ。


   
   「すごい、見せてもらっていい?」


 
佐倉くんは本を手に取ると、目をキラキラさせて、見入っている。
  


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