公園であいましょう
   「どこかで、逢ったことでもあったかな?」
  
   「.......................。」


 
 考えこむわたしに対して、その人は、うーんと体をのばしながら、ニコっと笑うと


  
   「黒ぶちメガネ、、、。」


 
 と、つぶやく。

 あっと、わたしは小さな叫び声をあげた。


 ジャカジャカジャカと さっきと同じ音楽が聞こえはじめ
 
 目の前のその人はあわてて立ち上がり、私の横をすりぬけながら、
 ボソっと小さな声を落とした。


  
   「そう、おれだよ 委員長。」


 
 その時、わたしは目の前に、なだれのように崩れ落ちる本のタワーを見たような気がした。

 はっと、我にかえってふりむくと、もう、どこにも人の姿はなかった。
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