公園であいましょう

   「うん、そうって、、、。
    モデルなんて、私にできるはずがありません。」

   「まず、カメラテストをうけてほしい。」

   「だから、できないといっています。」

   「僕は、君にお願いしたいんだ。」



 岩間さんは譲らなかった。

 いったいこの人は、何をどう考えて
 私にモデルをやれといっているのだろうか。


  
   「何度言われても、無理なものは無理です。」


 頑に拒否する私の言葉に、岩間さんの顔から笑みがひっこんだ
 と思ったら、鋭い目が私をじっと見た。

 そして、私を見据えたままこう言った。



   「君がモデルを引き受ける事で、
    井倉翔太くんが、助かるのだと言っても?」



 私は、唖然として岩間さんを見る。

 何それ、何の事?

 
 彼は、ニヤリとわらうと再び口を開いた。




   「今、僕は写真集の仕事をしているが、
    その写真集のモデルの一人が井倉くんでね。

    全部で四人のモデルを使う予定なんだが、
    最後の一人が決まらない。

    井倉くんの事務所が用意した女性モデルは
    僕のテストをクリアーできなかった。

    だから、この写真集の制作は今ストップしている。
    モデルが決まらなければ、井倉くんの写真も完成しない。」



 あの、TVで言っていた写真集のことだ、と私は気づいた。
 
 あれだけ、大々的にCMされていたのに
 制作がストップ状態だなんて。
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