月だけが見ていた
主任の顔を見たら
決心が揺らいでしまいそうで

ひたすらに俯きながら、私は言葉を紡ぐ。



「……忘れたくない人がいるんです」




頼りなく繋がった指先が、切なくて



「主任と近付けば近付くほど、」



苦しくて



「その人が遠ざかっていくのが怖いんです」

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