月だけが見ていた

ずっと、ずっと考えてた

もし、あの時別の道を選んでいたら
あなたは今でも私の隣にいたのかなって。


『私のせいだ』って泣く事が
彼を一番悲しませる事も

本当はわかってた。


だけど それでも

自分を責めずにはいられなかった。



「……やべ、」


再び私の体を抱き寄せた司くんの声は、
はっきりと震えていた。


「離せねぇ……」


私の首筋に
ぽたり、と司くんの涙が冷たく落ちる。




ーーー 神様

私たちが離れなければいけなかった理由は、何ですか


どうして司くんだけ連れて行ってしまったんですか


それが運命だというのなら
そんな言葉で片づけられてしまうのなら
この世界は、あまりに残酷すぎて



いっそ このまま


2人で
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