甘い恋愛なんて知らない
甘い恋愛なんて知らない
斎藤 美月、16歳。いたって普通の公立校に通う女子高生だった。ついこの間までは。



1週間前、交差点を通ろうとしたとき、一台の車が信号無視をし、歩道に突っ込んできた。


その時、ひかれそうになっていた小さな子供を助けようとし、自分が怪我をしたと言うわけだ。

そして今は、街の病院に入院している。


「それでこのざまだよ。」


もう二度と動くことはない自分の足に手を添えながら、ポツリと呟く。


ふと窓の外に視線を送ると、病院の敷地内に植えられている樹が目に入る。


いつのまにか、あの樹を見るのが習慣になっていた。


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