泣き虫イミテーション
 朱本グループ。日本屈指の一流企業で、光成の家が主な経営陣として運営している。
そんな大企業の御曹司である光成には婚約者がいる。元華族、橘家の次女二衣だ。
家族より近い他人。二衣にとって光成はそんな存在だった。

リネンの柔らかな布地が擦れあう音。
光成は二衣の耳をはみ、舌先でくすぐる。二衣はそのたびに敏感に反応して、身を捩らせた。

「…ミツ、」

「何?」

耳許囁かれた声に、はぁっと甘い吐息をこぼした。

「耳は、ダメだって…ん、」

「そう?じゃあ」

舌を耳から首筋へとゆっくり這わせ、鎖骨を吸う。ほんのりとそこが赤くなり、光成の跡がつく。光成は二衣の豊かな乳房に口告げ、舌先で優しくその先をなぶった。
心地よい快感に刺激され、ピンと固くなるそこをあまがみした。

「…ぁっ」

 おさえられた声であるものの、漏れでたその反応をもっと引き出すようにと、指と舌を使い二衣の弱いところを愛していく。

「ん、…ふっ、ぁん……」

「二衣…」

いつもと違う呼び方に体がピクリと反応した。

「…ミ、ツ?」

光成の触れた部分から甘い熱が伝わってくる。濡れた体を見つめられ息も出来なくなるようで、どこも触られていないのに淫らに腰が動いた。光成はそれを見て、意地悪く笑うと、唇にキスをした。バスルームでしたようなキスじゃなく、もっと大人な舌をからめあうキスを。

「本当、クソビッチ。こうやって誰に触られても、同じように感じて濡らして気持ち、はぁっ、いいってよがるんだろ…?」

不敵に笑いながら二衣を見下ろす光成。よく濡れたもっとも敏感な部分を、光成が掻き分けて入って来る。リネンのシーツを握りしめた手に力がこめられ、逃げるように腰を引いた。

「はっ、何その反応。滾るわ」

けれど光成は嘲笑うように二衣を貫いた。秘所から伝わる激しいすぎる快楽が二衣の全身を走る。

「やぁ…あっ…ふぁ、あぁあ…っっ!!」

「ちっ、早すぎだろ。二衣、感じすぎ」

「…ミツ、もう、許して、あげないから。」

 恥ずかしがりながらも、強がりを言う二衣。

「誰が誰を許さないって…!」

「んぁっ…!!」

光成は二衣の絶頂ったばかりの火照った感じやすい体を再び侵していく。

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