泣き虫イミテーション
「ではでは皆様、面子もそろいましたところで王様ゲームといきましょう。守られるルールはただひとつ。王様の命令はー?」

「「「ぜったい」」」

「のりのりだね」

「あとは公序良俗に反しない程度に楽しんでまいりましょう!」

若松はトランプをシャッフルして一枚ずつ渡していく。広いカラオケルームを一周して中央に戻った。二衣もカードをのぞく、王様ではなくダイヤの8だ。

「せーの「「「王様だーれだ!」」」

「はいっ、どうしよっかな。じゃあ一発目なんで赤の一番がメイド喫茶定番の台詞で!」「赤の一番、俺だな」「松本かよっ。ガッデム!」「お帰りくださいご主人様はーと。」「やる気だせ松本ーww」「くそっ」「せめて女子なら…」「じゃあご主人様のお飲み物がおいしくなるように魔法をかけちゃいますっ。ご主人様もご一緒に、せーのおいしくなぁれ、萌え萌え、はきゅんっ」「クオリティが」「違う意味で悶え死ぬわ!」

部屋の中で笑いがおこる。二衣も普通に楽しげで光成はいまいち現状がつかめない。別に来いと言われた訳ではないのだから当たり前なのだが。
二衣のことだから自分がここに入ってくるようにするため、電話したのだと分かっている。でもこれから何をするのか。ただゲームをしているだけなら、なんの行動も起こせないはずだ。なんていったってこれは、ランダムなゲームなのだから。

「では二回戦!」

考える間もなくゲームは進んでいく。王様は順に巡っていって、一度は朔良も王様になる。しかし大概は罰ゲームのりのりだねような命令をこなすだけのものだ。(若松の命令は酷かった。)

しかし大体全員に一度は王様がまわって来たかというころ。

「「「王様だーれだ」」」

「はい、私が王様。」

二衣に王様が渡る。
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