【好きだから別れて】
「もう…限界…」
一人ポツリと口にしたあたしはポケットに手を忍ばせ、指に当たった感触で携帯を取り出した。
悠希と出逢い人間らしく自分らしく変わっていった「歩」はこの殺伐とした真也と過ごした二年の月日で「負」に転じてしまった。
捨てられた犬猫よりも弱く、振りかざされた手が近くにくるだけで震えあがり後退りしてしまう。
せっかく健康的に戻してもらった全身の肉は削ぎ落ち、一段と小さくなってしまった。
やりきれず真也へ背を向けた歩は、真也との傷つけあいに疲れてしまったんだ。
どうすればあの頃の歩に戻れるの?
悠希を記憶から思い出に変えれるの?
壊れてしまった気持ちをもう抑えられない。
すがりたい。
悠希に会いたい…
『久しぶり。元気?』
作成したまま送れず保存しっぱなしだったメールを開き、願いを込めての送信。
返ってくるはずはない。
でも返ってきて。
返ってきて!
“♪…♪♪…”
「うそっ!?」
五分もせずに鳴り出した返信のメール音。
それなのに携帯を開けない。
怖いんだ。
今のあたしは何も抱えきれないのにまた無責任な巻き添えをくらわす奴なのだから。
――どうしよう。悠希じゃないかも。もしかして真也?
ドキドキして早く波打つ脈がより一層早くなる。
携帯を開くのに時間がかかり、もたつく手の中で携帯が遊んでいた。
受信メール:悠希
『もうよこすな』
そう書いてあるのかもしれない。
たった一押しで開けるメール。
これを開いてしまったら現実が待ってるかもしれない…
――怖い。怖いよ。でも見たい?見たくない?……見たい!
あたしは失ってしまったこの二年の空白を埋めたくて、覚悟を決めボタンを押した。
『メールきてビックリした!俺は変わらず元気だよ。歩はどうだ?体調はいいか?』
跳ね返されると思っていたのに、優しさで溢れる言葉が画面には綴られていて気が抜けた。
体調はなんとか大丈夫。
でもね。
悠希。
心が痛いんだよ…
一人ポツリと口にしたあたしはポケットに手を忍ばせ、指に当たった感触で携帯を取り出した。
悠希と出逢い人間らしく自分らしく変わっていった「歩」はこの殺伐とした真也と過ごした二年の月日で「負」に転じてしまった。
捨てられた犬猫よりも弱く、振りかざされた手が近くにくるだけで震えあがり後退りしてしまう。
せっかく健康的に戻してもらった全身の肉は削ぎ落ち、一段と小さくなってしまった。
やりきれず真也へ背を向けた歩は、真也との傷つけあいに疲れてしまったんだ。
どうすればあの頃の歩に戻れるの?
悠希を記憶から思い出に変えれるの?
壊れてしまった気持ちをもう抑えられない。
すがりたい。
悠希に会いたい…
『久しぶり。元気?』
作成したまま送れず保存しっぱなしだったメールを開き、願いを込めての送信。
返ってくるはずはない。
でも返ってきて。
返ってきて!
“♪…♪♪…”
「うそっ!?」
五分もせずに鳴り出した返信のメール音。
それなのに携帯を開けない。
怖いんだ。
今のあたしは何も抱えきれないのにまた無責任な巻き添えをくらわす奴なのだから。
――どうしよう。悠希じゃないかも。もしかして真也?
ドキドキして早く波打つ脈がより一層早くなる。
携帯を開くのに時間がかかり、もたつく手の中で携帯が遊んでいた。
受信メール:悠希
『もうよこすな』
そう書いてあるのかもしれない。
たった一押しで開けるメール。
これを開いてしまったら現実が待ってるかもしれない…
――怖い。怖いよ。でも見たい?見たくない?……見たい!
あたしは失ってしまったこの二年の空白を埋めたくて、覚悟を決めボタンを押した。
『メールきてビックリした!俺は変わらず元気だよ。歩はどうだ?体調はいいか?』
跳ね返されると思っていたのに、優しさで溢れる言葉が画面には綴られていて気が抜けた。
体調はなんとか大丈夫。
でもね。
悠希。
心が痛いんだよ…