【好きだから別れて】
『そっか幸せならいいんだ。俺がどうこういうのは変だけど歩が幸せなら文句なし。安心したよ。話戻すけどゲームどうする?いる?近いうち会うか?』


悠希は結婚してしまったあたしだろうと普通に会えるらしく、すんなり会う方向に話を進めている。


深い意味なんてそこには存在しないのかもしれないが、今のあたしには酷な話だ。


もし二人きりで会ってしまったら間違いなく引き返せなくなる。


力強く悠希の体を引き寄せ「絶対離れない!」と永遠の愛を叫ぶだろう。


だから会ってはいけないんだ。


自分にけじめをつけなければ止まらなくなる。


悠希には未来がある。


前に進み出したのに、裏切り者は妨害しちゃダメなんだ。


これぐらいしかあたしが悠希にしてやれる事はない。


全て綺麗にする。


終わりにするんだ。


『大丈夫。ゲームいらない。自分で買うつもりだったからメールしただけだもん。とにかくなんてやつか教えて』


決別の意を込め「悠希とは会いません」を全面に押し出した、断りのメール送信。


~悠希に幸せよ降れ!~


そう強く願って…


すると悠希の返信メールが再びこなくなった。


ちゃんと話を終わりにさせたいのか、それとも何かを考えてるのか。


やたら時間がかかり、あたしは車内のオーディオに表示された時間を何度もチラ見して携帯を開いて閉じてを繰り返した。
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