雨に似ている  (改訂版)
「もう、逃げない。本気で弾く。全力でピアノを弾く」

詩月ははっきりと言い、郁子の手を握り返した。


「緒方……1度しか言わない」

詩月は小さく微笑み、郁子の黒髪にそっと触れ耳元で囁いた。


「……君が唯一のライバルだ」


窓の外。

雨が霧のごとく音もなく降り始め、景色を滲ませている。

優しく全てを包みこみ、慈しみ見守るように。

詩月の「雨だれ」の音色のごとく。

哀しいまでに優しく切なく、心地好いため息のように。



雨。

時に優しく、時に激しく、辛い時も嬉しい時も誰に対しても、平等に降り注ぐ。

でも……と詩月は思う。

ーー辛い時にも苦しい時にも、雨はいつも優しく見守っている。雨は様々な表情を見せながら、辛いことも苦しいことも洗い流し、いつも温かく励まし勇気を与えてくれる。「諦めるな、希望を持て。精一杯生きろ!!」と……生きる、それは「雨に似ている」


 Fin.
< 143 / 143 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

金木犀のアリア
竹久祐/著

総文字数/83,743

青春・友情235ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
作品名【金木犀のアリア】 .:*゜..:。:.::.*゜:.。:..:*゜ カフェ「モルダウ」に現れる白い猫 猫は電車に乗り、様々な場所で目撃されている 神出鬼没の白い猫 猫はチャイコフスキーを聴きにくる…… リリィとアランの思いを抱いて 時をこえた愛は奏でられる 【金木犀のアリア】完結 .:*゜..:。:.::.*゜:.。:..:*゜ 詩月、高校3年の秋。 チャイコフスキー作ヴァイオリン曲 「懐かしい土地の思い出」 ほのかに金木犀が香ってくる。 甘く優しい香り ヴァイオリンの音が 切なく悲しく、心に響く すっと、背筋を伸ばしヴァイオリンを弾き始めた詩月 カフェ・モルダウ リリィの愛した曲が奏でられる 【金木犀のアリア】 .:*゜..:。:.::.*゜:.。:..:*゜ ※感想ありがとうございます *熊川なおたか 様 *囲 章文 様 *氷月あや 様 *叶 遥斗 様 *黒猫○ルビー 様 ※レビューありがとうございます *囲 章文 様 *叶 遥斗 様 *黒猫○ルビー 様 *bi‐ko☆/ 様 ★イメージポエムありがとうございます *囲 章文 さま
LIBERTEーー君に
竹久祐/著

総文字数/97,820

恋愛(純愛)258ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
「雨に似ている」→「金木犀のアリア」 →「風は囁くー君と輝きたいから」 →「金木犀のエチュード」 →「風の詩ー君に届け」 →「ROSE ウィーン×横浜」 に続く ✴✴ーー【雨に似ている】シリーズ続編ーー✴✴ ウィーン×横浜 詩月が留学して早1年半弱。 郁子は腱鞘炎を患っていた。 加えて、 目指していたコンクールは 新型ウィルス拡大により 開催1ヶ月前にして突然の延期。 「追いかけてこい」 詩月は自分自身が 郁子に言った言葉の重みを噛みしめていた。 ✴✴✴順番に読まなくても、 どのタイトル編から読んでいただいても 内容はわかるようにしています 今シリーズは 高校2年生だった詩月も 大学生になり、 ウィーン留学して1年半 という設定から、話が始まります。
風の詩ーー君に届け
竹久祐/著

総文字数/132,012

青春・友情372ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
作品名 【風の詩】 .:*゜..:。:.::.*゜:.。:..:*゜ 理久 「伝説って何だよ?」 詩月 「うちの学園にあるんだって」 郁子 「神話のオルフェウスに似てるのよ」 安坂 「裏門の像がね」 詩月 「BGMはJupiterなんだ」 郁子 「えっ、ロマンスなのに?」 理久 「いいんじゃないか?」 安坂 「万葉集の防人の歌を思い出すよね」 郁子 「ヴァイオリンロマンスでしょ!?」 .:*゜..:。:.::.*゜:.。:..:*゜ ◆周桜詩月(音大1年) Nフィル交響楽団、 新進ソロヴァイオリニスト .:*゜..:。:.::.*゜:.。:..:*゜ 【風の詩】 .:*゜..:。:.::.*゜:.。:..:*゜ .:*゜..:。:.::.*゜:.。:..:*゜ ★レビュー、ありがとうございます *藍里まめ 様 *aona 様 *愁檎 様 *熊川なおたか 様 *立花いずみ 様 *椎名ゆず 様 ★感想ありがとうございます *椎名ゆず 様 *楼音りる 様  *Piine 様 *藍里まめ 様 *aona 様 *愁檎 様 *熊川なおたか 様 *森小枝 様 .:*゜..:。:.::.*゜:.。:..:*゜ ★ポエムありがとうございます *aona様

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop