雨に似ている
理久の顔が曇り、愚痴る僕を心配そうにみつめて、ひと言。


「俺は詳しいことは知らない」

冷静にこたえる理久の言葉と表情が、詩月の勘に障る。


「さっきから、何度もちらちらと……メチャクチャな心電図の波形をチェックしてるくせに……知らないなんて嘘は信じない」

詩月は理久の顔を睨む。


「たくさんなんだよっ。
そんな心配そうな顔をされるのは! 何もかもダメだと言われているみたいで。
言いたいことがあるなら、はっきり言えよ!」

息が乱れるのと、ほぼ同時に心電図のモニターが激しく警告音を鳴り始める。


――ヤバイな


詩月が思った刹那。

胸が締め付けられるような痛みと息苦しさが、詩月を襲う。


「おい、詩月……詩月!!」

詩月は理久が、何度も名前を呼ぶ声を薄れていく意識の中で聞いた。


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