極上ドクターの甘い求愛



仕事か恋、どちらかを選べと言われたら、今の私は確実に仕事を優先するだろう。

自分のために。自分が傷つかないために。

相手に自分の気持ちを受け入れてもらえたことがない私は、恋というものに本気になれない。

どうせまた、ダメになる。私の気持ちは届かずに終わっていく。相手に私の心は受け入れてもらえない。一途な片思いは、いつも失恋という形で消えていくのだから。


『――着いたよ。』


岩崎先生の言葉が紡ぎ終わる前に静かに止まったベンツ。

車窓の外には見慣れた私のマンション。


「…ありがとうございました。」


あまり、岩崎先生とは近づかないほうがいいかもしれない――。


『繭ちゃん。』

「っ」


車のドアノブに手をかけると同時に、反対の手を先生に掴まれた。

反射的に先生の方に振り向くと、先生は優しげな笑みを浮かべてて。


『気を付けて帰るんだよ。』

「……っ、」


今まで、誰にも女の子として扱ってもらえなかった。

私が好きになった男子はみんな、私のことを面倒見のいい姉御肌の友達としか認識してくれなかった。

だから、だから、困るの。

何で貴方は、いつも私をそんな風に愛おしそうに見つめるの……?



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