労苦
 本音が出る。


 門島は俺や嶺岸にはバシバシ言う方だった。


 警官としての心得を。


 身につまされていた。


 約二十年前のことで、刑事も捜査に泥臭さが要求されていた時代である。


 ずっと門島に付いていたことを話すと、橋村が時折コーヒーの缶に口を付けて飲みながら聞いていたが、やがて、


「梶間さんも教育されてたんですね。厳しく」


 と言った。


「ああ、俺も身に沁みたよ。刑事の仕事の大変さと責任の重大さがね」


 軽く息をつく。


 午後九時過ぎまでラウンジにいて、それから帰宅した。


 晴海と遅い夕食を取る。



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