労苦
ら何かを抜き取って、それを使い、次の犯罪を企てる――、そう推測していくと、辻褄が合う」


 そう言って、軽く息をつく。


「梶間さんの推理は断然冴えてますね。さすがは警視庁一のデカですよ。切れ味が違う」


 橋村がそう言って、褒めちぎる。


 実は俺も東大出身なのだ。


 経済学部で専攻はマクロ経済学だったのだが、在学時、ミス研にいた。


 そこで古今東西のいろんな推理小説を読んできたのだ。


 読むだけでなく、批評もし合った。


 そうして、今の刑事としての土台が出来上がったのである。


 とにかく、何かを考えることが定着しているのだった。


 そして警察学校で所定の訓練を受け、警察社会に入り、身を立てる。


 ずっとそうした生活が続いていた。



< 21 / 666 >

この作品をシェア

pagetop