労苦
第38章
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 木曜も南新宿署の帳場で前田と話をした後、午後6時には新宿区を出、警視庁へと向かう。


 秋で、ほんの先月までの異常な蒸し暑さが引いていても、体に疲れが残っている。


 帰庁後、一課のフロアに入り、残務をこなした。


 俺も橋村もずっとパソコンのキーを叩く。


 無言で。


 そして午後9時にはフロアを出、退庁して、自宅へ戻った。


 翌日金曜も同じような感じで一日を送る。


 お互い暇がない。


 日中は庶務や捜査に臨む。


 クタクタになってどうしようもないぐらい、身も心もすり減ってしまう。


 だが、三原社長殺害事件は思うように解決へと向かわない。


 ブレーキが掛かっている。




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