労苦
 キャリア組の人間でも、警察上層部は俺のことをまるで汚らしい野犬のように使う。


 まあ、仕方ない。


 階級が上がらないのも、受け入れるしかなかった。


 自身が出世の墓場で、何かと雑に扱われる。


 橋村も思っているようだった。


 同じ刑事でも、俺自身が普通の警官と違っていると。


 現場に行く刑事など、所詮3K労働で疲れるのだ。


 それは認識済みだった。


 車のハンドルを握りながら、


「……今日も収穫ないかもな」


 と呟くと、助手席にいた橋村が、


「まあ、仕方ないですよ。上の人間たちも乗り気じゃないんですから」


 と言い、軽く笑う。



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