労苦
「こんにちは」


「ああ、梶間警部に橋村警部補。お疲れ様です」
 

 俺の挨拶に、前田が返す。


 そして席を立ち、帳場へと向かった。


 付いていき、ガランとなった捜査本部に入っていって、俺と橋村が椅子に座る。


 前田がコーヒーを淹れ、


「今日は留守番ですよ。石川も他の捜査員も出払ってますし」


 と言って、差し出した。


 一口飲み、カップを置いて、


「警視庁も事件に関する認識が鈍くてしょうがないのですよ」


 と言い、軽く息をつく。


 橋村は椅子に座ったまま、ずっと黙っていた。


 そして俺と前田が話すのをじっと聞いている。
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