労苦
第45章
     45
 その日も午後6時ぐらいまで、南新宿署の帳場で石川と話をした。


 所轄の警官たちも踏ん張っているようである。


 三原社長を殺害した犯人を捕まえ、同時に神宗会を摘発することも視野に入れていて。


 組対はいずれ動く。


 あの部署の人間たちもバカじゃない。


 ちゃんと水面下で手を打っているのだ。


 俺も橋村も、そして他の捜査員たちも常に事件解決に向け、努力している。


 警察が内田晶夫を射殺したことも、あながち間違いではなかった。


 事件はいよいよ新たな局面へと移る。


 大村係長を生田に毒殺させた矢野原監察官を探し出すことだ。


 確かに警視庁付の監察官が殺人教唆をし、挙句逃げ回るなど、常識じゃ考えられない。


 だが、その常識じゃ考えられないことが巻き起こっている。



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