労苦
第52章
     52
 南新宿署の帳場でその日も前田の話を聞いた後、午後6時を回る頃には署を出る。


 そして駐車していた車に乗り込み、警視庁へと向かった。


 疲れはある。


 ずっと捜査なのだし……。


 確かに倦怠は感じていた。


 だが、そうも言ってられない。
 

 この事件が解決するまで、捜査に従事する必要性がある。


 帰庁後、捜査一課のフロアで残務をこなした。


 上の人間たちの腹の内は分からない。


 一体何を考えているのか?


 口にこそ出さないのだが……。


 警察上層部も矢野原の殺人教唆の件があって、動き辛いのだろう。
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