労苦
第55章
     55
 その日は南新宿署の帳場に入らずに、ずっと街を見て回った。


 そして午後6時過ぎには警視庁に戻る。


 疲れていたのだが、捜査一課のフロアに入ると、残務に追われた。


 十階の一角から眼下を見ると、東京の夜景が見える。


 確かに大都会は物騒だ。


 そう思いながら、時が過ぎるのが早いとも感じていた。


 時間は流れていく。


 現在が一瞬一瞬、過去へと変わり……。


 パソコンに向かいながら、捜査報告書などを付ける。


 午後9時前には仕事が終わり、パソコンを閉じてから、建物を出た。


 桜田門駅まで歩いていき、地下鉄に乗り込む。


 そして自宅へ向かった。



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