労苦
第62章
     62
 その日も南新宿の街を歩き、午後6時には撤収して、帰庁する。


 心身ともに疲れ切っていた。


 だが、残務がある。


 捜査一課のフロアには大勢の警官がいて、仕事をこなしていた。


 俺も橋村もデスクでパソコンに向かう。


 キーを叩き、いろんな文書類を作って、上の人間たちに報告していた。


 確かに三原社長殺害事件に関し、警察上層部の反応は鈍い。


 俺たちぐらいしか、このヤマを追っている警官はいない。


 そう思うと、何かしら責任のようなものは感じていた。


 そしてその日も午後9時過ぎには桜田門を出、帰宅する。


 地下鉄に乗り込み、自宅へと向かった。


 自宅マンションの玄関口で、晴海が出迎えてくれ、一緒に遅い夕食を取る。



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