労苦
第70章
     70
 その日も夕方まで前田と話をした後、南新宿署を出て、帰庁した。


 車は冷える都内を走っていく。


 橋村も疲れているようだったが、戻れば、残務がある。


 捜査一課フロアに入り、各々デスクに着いて、パソコンのキーを叩き始めた。


 仕事をこなして、午後9時を回る頃には警視庁を出る。


 いつも職務は何かと辛いのだが、踏ん張っていた。


 地下鉄を乗り継ぎ、自宅に戻る。


 晴海が、


「あなた、お帰りなさい」


 と言って、出迎えてくれた。


 妻には家のことを何もかも任せている。


 安心して、仕事が出来た。


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