労苦
 いろんな点で、事情が分かりにくい部分があった。


 だが、警察官は皆、二日前の警視庁監察官爆死事件の余韻を引き摺ってない。


 そして皆、次の獲物を追っている。


 三原伸吾を闇に葬り去った人間だ。


 前田が俺たちを見つけて、立ち上がり、声を掛けてきた。


 俺も橋村も各々一礼し、前田の案内で帳場へと向かう。


 コーヒーを淹れてもらい、飲みながら、またいろいろと事件捜査に関し、話をする。


 緊張感はあった。


 絶えずずっと。


 いろんなことが重なると、身も心も磨り減る。


 だが、警察は暗黙裡に事件解決に向け、進んでいた。


 幾分手探りではあるのだが……。
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