労苦
第11章
     11
 その日も午後八時には帰庁した。


 そしてフロア内で午後十時前ぐらいまで仕事する。


 ずっとパソコンに向かい、キーを叩いて、捜査記録などを付けた。


 そういった点、まめなのである。


 桜田門駅から地下鉄に乗り込み、自宅に帰り着いたのは、午後十一時を回る頃だった。


 晴海が出迎え、


「あなたもお仕事お疲れ様。夕飯あるわよ」


 と言い、笑顔を見せる。


「ああ」


 端的に返し、テーブルの椅子に座り、妻の出した食事を取った。


 入浴も済ませ、すぐに寝入る。


 週が明け、次の週の火曜の朝、午前八時過ぎに出勤すると、強行犯七係の係長の嶺岸が先に来ていた。
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