姉弟ものがたり
学*君との今

久しぶりに予定のない休日、インスタントのコーヒーを片手にベッドを背もたれにして床に腰を下ろす。

その時、何気なく目に付いたアルバムに手を伸ばした。
生まれたての自分が親に抱かれている写真や、ランドセルをしょってカメラにピースサインを送る写真などを眺めながらパラパラとページをめくる。
軽快にページをめくる手が止まったのはちょうどアルバムの中程、学ラン姿の写真が多くなり始めたところだった。

友人に囲まれて無邪気に笑う写真に挟まれたその一枚に、思わず視線が吸い寄せられる。
照れたように微笑む学ラン姿の少年と、妙に大人びた笑顔を浮かべるセーラー服の少女が並んで写るその写真。
手にしたコーヒーを飲むことも忘れて、ぼんやりとその一枚を眺める。


「…真緒……」


吐き出す息と共にスーっとこぼれ落ちた言葉が、静かな部屋に悲しい余韻を残して消えていく。

微笑む少年は中学二年生、クラス替えで初めて知り合った少女とはたまたま席が隣同士だった。

何となく、いいな…と思った。
友達に冷やかさるように背中を押され、勢いで告白した時のことは今でも忘れない。
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