東堂くんは喋らない。





バーベキューが終わって、暗くなるかならないかのうちに、ちょっと早いけどすぐ近くの土手でみんなで花火をすることになった。



花火は、あらかじめ幹事の山本が用意してたっぽい。





それぞれ好きな花火を手に取って火をつける。





「柑奈!これとこれとこれとこれとこれとこれ、どれがいいと思う!?」



「候補が多い!」



柑奈に突っ込まれながら花火を選んでいると、ちょっと離れた所にひとりで座っている東堂くんに気付いた。



「…これでいっか!」




私は適当なのを二本選んで、東堂くんの隣に腰掛ける。




「はい!東堂くん」



「……おー」




ボーッとしてる彼の前に差し出すと、ちょっと驚いたように目を瞠ってから、ノロノロとそれを受け取った。





「花火とか…すごい久々だな」



「マジで?どんくらいぶり?」



「んー…分かんないくらいぶり」



「あは、何それ」




バーベキューの途中、なぜかすごく不機嫌だったからちょっとドキドキしてたけど、今の東堂くんはいつも通りでホッとする。





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