東堂くんは喋らない。
「待って、東堂くん!」
いくら呼びかけても、東堂くんが待ってくれることなんて勿論ない。
スタスタと階段を下っていく背中を追って、私も慌てて階段を下りようとした時だった。
「うわっ!」
ガクッと階段を踏み外し、グラリと前に体が傾く。
そしてそのまま…
「うわぁあ!」
「…!!」
すぐ前にいた東堂くんの背中にダイブ!
「…おおお〜!」
転がり落ちた私たちを、そばにいた生徒たちのどよめきが包んだ。
「うわ、エロッ!」
男子のそんな声が聞こえる。
はぁ?エロいって、何が…
「いたた…」
痛む体をゆっくり起き上がらせ、気付くと
…私が東堂くんの上に馬乗りになっていた。
うわぁあ!!