東堂くんは喋らない。






「頭が痛い…」



「えぇ?大丈夫?」




机に突っ伏する私に、ジャージに着替えた柑奈が心配そうに眉をひそめる。





「体育は?できそう?」




3時間目。次は体育。今は男女共にバレーボールをしている。




「うーん…無理かも…」



「マジか。じゃー先生には私から言っとくから、保健室行って休んでな」



「うん、ありがと柑奈」




教室を出て行く柑奈の背中を見送ってから、再び机に突っ伏する。




あー…滅多に頭痛なんてならないのに。健康だけが取り柄の私なのに。




「睡眠不足、続いたからかな…」



慣れない考え事で、私の頭はパンク寸前。いやもうパンクしてるのかな。






すきか、きらいか。





なんでこの二つしかないんだろう。




簡単なようで、ものすごく難しい。





答えを出すのって、すごく…苦しいよ。






「…松原?」





< 172 / 268 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop