東堂くんは喋らない。
「頭が痛い…」
「えぇ?大丈夫?」
机に突っ伏する私に、ジャージに着替えた柑奈が心配そうに眉をひそめる。
「体育は?できそう?」
3時間目。次は体育。今は男女共にバレーボールをしている。
「うーん…無理かも…」
「マジか。じゃー先生には私から言っとくから、保健室行って休んでな」
「うん、ありがと柑奈」
教室を出て行く柑奈の背中を見送ってから、再び机に突っ伏する。
あー…滅多に頭痛なんてならないのに。健康だけが取り柄の私なのに。
「睡眠不足、続いたからかな…」
慣れない考え事で、私の頭はパンク寸前。いやもうパンクしてるのかな。
すきか、きらいか。
なんでこの二つしかないんだろう。
簡単なようで、ものすごく難しい。
答えを出すのって、すごく…苦しいよ。
「…松原?」