東堂くんは喋らない。
「つーわけで、代表リレーの女子は黒沢、松原、峰岸な!」
「やった!やったね柑奈!」
「私べつにあんまり出たくないんだけど…」
最終授業のLHRを担任から体育祭の為に使うことを許され、張り切って教壇に立った山本。
そこでめでたく代表に選出され大喜びの私!と、なぜかあんまり嬉しそうではない柑奈。
ちなみに女子で一番速かったのは黒沢夏海ちゃんで、陸上部のエース。
この3人プラス男子3人で、代表リレーに出場することになる。
「がんばれよお前ら!そして男子は!!」
山本は、女子の名前の隣に大きく山本と書いた。
「まずはもちろん俺!タイム超ぶっちぎり!クラス期待の星!」
自分で言うな自分で。
「で、あとは遠藤と…」
おおー、と、その瞬間(山本の時には漏れなかった)女子のどよめきが起きる。
なんといっても遠藤くんはバスケ部エースで、イケメンだから女子にすっごく人気がある。
うんうん、納得の選考。
「で、残るもう一人は…」
ニヤリ、怪しげに笑った山本がビシッとこっちを指差す。
は!?わ、私!?
「東堂一哉!おまえだ!!」