東堂くんは喋らない。
小型犬はハチを怖がると思ったけど、ミニチュアダックスフンドちゃんも社交的な性格のようで。
二匹はすぐにじゃれあいはじめた。
ホッ、よかった。とりあえずハチが瞬時にフられることがなくて。
「あはは、すごい可愛いです…ね…」
飼い主さんに挨拶しようと顔をあげた瞬間、思わずギョッと目を見開いた。
だ、だって。
そこにいたのは
「東堂くん!?」
「………」
東堂くんもかなり驚いていたけど、すぐにいつもの険しい表情に戻りクルリと私に背を向けた。
でも…
「………」
ミニチュアダックスフンドちゃんが頑としてそこを動こうとはせず、はぁ~、と深いため息を吐く東堂くん。
「おい…ココア」
ココア!?
「え、ココアちゃんっていうんだこの子!かわい~!!」
「……」
なぜか更に険しい表情になった東堂くんが不機嫌そうに眉をひそめる。
「何歳?」
「………」
「何歳?」
「………」
「何さ「3歳」
おお、面倒くささ満載だけど一応答えてくれた!
「へぇ~!じゃぁハチと同級生だ!よかったねハチ~!」
わしわしと頭を撫でると、嬉しそうにワンッと吠えるハチ。