東堂くんは喋らない。
痛いくらい抱きしめられた体に、ドク、ドク、と東堂くんの鼓動が伝わってくる。
「…すき…」
溢れ出る気持ちのままに呟いた。
さっきまでは、あんなに伝えられなかったのに
なんだか今は、無性に言いたくなってしまう。
「すきだよ、東堂くん」
ギュッと背中に回された東堂くんの腕に力がこもって。
「私を、東堂くんの彼女にしてください」
少し体を離されると、おでことおでこがくっつく位の距離で東堂くんが、笑った。