東堂くんは喋らない。





「…あ、う、うん…」



思いがけない言葉に、言葉に詰まってしまう私の肩を、グイッと東堂くんが引き寄せた。




「…と、東堂くん!?」



肩と肩がぶつかって。


私の左肩にまわっている東堂くんの腕に、心臓が跳ねる。




「…なんか、夢みたいだな」



前を見たまま、東堂くんが言った。




「…え?」


「…松原と付き合ってるなんて、夢みたいだ。

俺、絶対嫌われたって思って、怒られる覚悟で昨日、ここに来たのに…まさかの告「あーっ!もう!言わないでそれ以上!」



思い出すのも恥ずかしい!



耳を塞ぐ私を、東堂くんがおかしそうに覗き込んで。



「……キスしていい?」


「……はっ!?」


「…今度は嫌われる為じゃない。
好きって伝えるためのキス」




…東堂くんの目が真剣すぎて、たまらず目をそらす。



ダメだよ。反則だ、こんなの。




「…き、聞かないでよ…」


「…うん、わかった」




チュ、と一瞬だけ触れた唇はすぐに離れて。




「…もっかい、いい?」





どちらともなく、もう一度触れる。








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