東堂くんは喋らない。
「…寄ってく?」
「え、でも後でまた散歩の時来るよ?」
「…いいでしょ、たまにはアイツらいない時に来たって」
いこ、と公園に入っていく東堂くん。
ハチとココアのことを、まるで友達みたいに言う東堂くん。
私も急いで後を追った。
「…あ、もう星出てる」
「あっ、ホントだ!」
東堂くんと二人、ベンチに座ってボンヤリ星を眺める。
まだ明るい空の中、うっすらと一番星が顔を出していた。
「明日晴れかなぁ」
「…だといいの?」
「うんっ、晴れのが好きだし」
明日から体育サッカーだし、楽しみだなぁ、放課後は久しぶりにクレープ食べいきたいなぁ、なんて好き勝手にペラペラ喋って、やばい一方的に喋りすぎた!と焦って隣を見ると、そこにはすごく優しい顔で私を見る東堂くんがいて…、虚をつかれた。
「…と、東堂くん?ごめんね、バーッて一人で話しちゃって」
「…別に?」
「と、東堂くんは?なんか明日、したいこととか、ある?」
「…俺?」
うーん、と彼はちょっと考えてから、
「別に、松原と一緒にいれたら、何でもいいよ」
…そんな悩殺文句を言ってくれた。