東堂くんは喋らない。
「とっ…東堂くん!待って!」
ダッシュで追いかけ、ようやく追いついた時には息も切れ切れだった。
き、帰宅部のツケがこんなところで…!
運動しよう、定期的に。と固く誓っている私を、足を止めてくれた東堂くんが無表情に見下ろす。
「………なに」
…無表情だけど、なんとなく声がいつもより尖っている気がした。
「え?いや、何っていうか…」
何っていうか…
「…なんとなく?」
「………」
眉をひそめた東堂くんが、はぁ、とため息をついた。
あ、このため息。呆れと諦めと何だコイツって言いたげの。
「……別に悩んでねーから」
「…へ…」
突然のことで一瞬意味がわからなかったけど、すぐにピンときた。
職員室での、担任との会話…やっぱり聞こえてたんだ。
じゃぁ、ってことは。
…アレも?
“とぼけんなよ。松原と東堂が仲良く犬の散歩デートしてたっていう目撃情報が多数だぞ”
うわぁ~!絶っっ対東堂くんめちゃくちゃ嫌な気持ちになったよね!!
「あの!東堂くん!な、なんかゴメ…」
「いいよ」