東堂くんは喋らない。
「あ、あの…」
もしかして、今の話聞いてた…?
だけど東堂くんはすぐに私から視線を外すと、スタスタと担任に向かって歩き始めた。
「うぉっ!と、東堂!?」
タイミングもタイミングだけに、担任もかなり驚いている。ていうか焦っている。
そんな担任に、彼はズイッと手に持っていたものを差し出した。
「…え?」
「…………プリント」
「へっ?あ、あぁそうかプリントか…今日提出のヤツだな…ご、ご苦労…」
「…………」
用が済むと、無表情であっという間に職員室を出ていってしまった彼。
後ろでは、「はじめて東堂の声を聞いた…!」なんて担任が感動してるけど。
「…東堂くん!」
慌てて廊下に出ると、はるか遠くに東堂くんの背中が見えた。
東堂くん…歩くの速いな…!!