東堂くんは喋らない。





私が優月さんに東堂くんの過去を聞いた、次の日。




東堂くんはその日の朝、登校した私に、まるで何でもないことのように言った。





「…昨日電話したから、優月に」



「…うん」





それ以上のことは何も言わなかったし、聞きもしなかったけど、前を向いたままそう言った東堂くんの顔は、いつもよりもなんだか清々しく見えた。




…たぶん、東堂くんは私の知らないところで色々思って、考えて、そして乗り越えようとしてる。



躓いてしゃがみ込んで、でももう一度立ち上がろうとする強さがあれば



きっと大丈夫だから。




東堂くんが笑える理由に、一個でも私がなれるといい。





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