新選組へ ~ 連理之枝 ~
「うわあああ…ぐっ」

拷問は、覚悟していた

こんなの… 琴を守る為なら、へでもねぇ

バシャー
「ゲホッ・・・」


「そろそろ言えよ?」

「・・・」

「お前の名前は?」

「・・・」


ドスッ


「ぐぇっ…くっ」


ギィーーーー


開いた蔵の扉から、入って来たのは

琴だった

「土方さん」

なっ… なんで!?

「なんで、琴がここにいるんだ!?
会津に渡せと頼んだはずだ!!」

嘘だろう?

土「誠…抜け出したのか?」

誠「そんなとこです
2人にして貰えませんか?」

土「ダメだ!お前に、間者の疑いがかかる」

誠「じゃあ、俺らの会話は、聞かなかったことにして下さい
あと、会話に入らないで下さい」

土「わかった」



土方にぺこりとお辞儀して、俺の方へ来る



「殴られるより、痛ぇよばか!
せっかく、逃がしたのに!
新選組には関わるなと言っただろ!
なんで戻って来たんだよ!!」

「確認したいことがあったから」

「・・・はぁ?」

「きぃさんの故郷は、どんなとこ?」

「良いとこだよ
静かで…鳥の鳴き声とかよく聞こえる」

「そっか」


確認って コレ?


「俺さぁ、お香とか作れるらしいよ?」

「へぇ…どうやって作るんだ?」

「知らねぇ」

「ぷっ」

「へへっ」

「どこまで覚えてるんだ?」

「全部」

土「はぁ!?いつから!?」

壁にもたれていたが、驚いて土方が大声を出す

「春頃から、所々抜けてるし曖昧だけど
支障ないくらいかな
会話に入って来ないで下さい!」

土方の方をチラッと見て言った

「じゃあ、宮部兄弟のことも?」

「覚えてる!清河八郎と連んでただろ?」

「じゃあ、お前!自分が狙われていることも、わかってて新選組に?」

「うん!新選組なら、大丈夫だろ?」

「どこが!?お前は、事の大きさがわかってない!」

「それは、きぃさんに言うよ!
自分が捕まれば、俺が助かるとか
計画が止まるとか、甘すぎる!!
・・・どんな計画か知らねぇけど
俺が止めてやる!!
全部、片付けたら・・・

故郷に連れて行って!」

「琴・・・」

「あっ、琴って偽名
本当の名前は…だよ!」

耳元で、俺にしか聞こえないように
教えてくれた

にっこり笑う


この笑顔の為


俺は、ここに来たんだ


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