しつこい、それでも君に恋をする



『お断り致します!』



『ケチー!!』



『ケチで結構です!』







彼は私の言葉にシュンとした顔になる。


でもね、私はもうその顔を見ても胸を痛めなくなった。




何故って?





『何度お断りしたら、私のところに来るのを辞めていただけるんですか?』



私はキッと彼を睨みつけ、そして彼に問いかけた。





『迷惑?』



『とても迷惑しています!』



彼のどんな言葉にも私は厳しい口調で返す。


そんな私の返事に、彼は笑ったり、シュンとした顔になったり…





『うーん、でも俺、冬香ちゃんのこと、好きだからさー。
 また来ちゃうよね、きっと』




この人には“迷惑”という言葉が通じないのか…


あるいはこの人の辞書の中に、そもそも“迷惑”という単語がないのか…






『何度来て頂いても無駄です!
 むしろこう何度も来られると、余計に素直に告白をお聞きできません!』





私の言葉に彼はクスッと笑った。




『だって、俺、怒った顔の冬香ちゃん、好きだし?
 それに恋してる時の冬香ちゃんも、それから親友と笑い合ってる時の冬香ちゃんも!』





……言葉を失う私。




彼は学校に着くなり、私に告白をしてくる。


授業の合間も休み時間にも現れて、そして昼休みにもやってきて、そして帰りの時まで一緒に帰ろうと誘ってくる。



それが、今日で、ちょうど一カ月。



一か月彼は私に告白をし、私は彼の告白を断っている。


それが、今日で、ちょうど一カ月。




そろそろ、私もイライラの頂点を迎えそうです…。







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