雨恋~雨のちキミ~

-3-

「おはよー」


「おはよ、化学の課題出来たー?」


始業前の賑やかな教室内の雰囲気とは裏腹に、どんよりと曇った今の空と同じあたし


「千賀、おはよー」


「あー。柚羽、おはよー」


左頬を机にへばり付けたまま、目線だけで柚羽を見上げ挨拶する


「どうしたん?スライムみたいやで」


ケラケラ笑う柚羽のテンションに、いつもならついていく元気はあるけれど

昨日あれだけ1人で盛り上がった後に落ちてしまっては、もう授業とか人生とかどうでもいいような気がしてきた


大袈裟かもしらんけど…


「風邪?」


怪訝な顔を向けてくる柚羽


「恋の病」


「ふーん、あっそ」


軽くスルーされ、これまたヘコむ


「なあ…」


「何よ」


「もし、やで?『好き』って一回も言われてないのに、突然『付き合って』って言われたとして………それって、好きやから付き合ってほしいってことなんかな?」


「………普通は、好きやから付き合おうってことちゃうの?したいだけやったら、いちいち『付き合って』なんて言わんし」


「したいだけっ!?」


つい大きな声が出てガバッと顔を起こす


「アンタ、うるさい」


皆の注目を浴びていることに気付き、のそのそと頭を下げ机に顎をつけた
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