2・5次元の彼女
どんなに思いつめても
景斗がいてくれるからなんて
どこかそんな風にぎりぎりのところで保たれていたのに
全て決壊してしまったら
もう何を拠り所にすればいいのか、分からなくて
どこに行けばいいのか、誰を頼ればいいのか
広い世界の中、突然ひとりぼっちで投げ出されたようで。

いつの間にか
頼りないと思っていたはずの景斗をこんなにも頼っている。

悔しくて涙が滲む。
彼に依存していたという事実に。


結局こうなってしまうと向かえる先はひとつしか思いつかなくて
その人にもつい先日、裏切られたばかりのはずなんだけど
それでも彼は、私のことを「好き」とか「会いたい」とか、分かりやすい愛情表現で求めてくれているし
少なくとも今の景斗よりは、私のことを大切に思ってくれている気がした。
そしてほんの少しだけ
嫌がる景斗への当て付けも込めて。


左手首の時計に目を落とす。
23時45分。
今から急いで駅に行けば、彼の家へ向かう電車にも間に合うだろう。

行ってはダメだと分かっている。
それでも、そうするしか思いつかなくて。
景斗が悪いんだ。
こんなにも私を、嫌な気持ちにさせるから。


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