2・5次元の彼女
職場のある繁華街から少し離れたところに位置する公園通り。
車道はそこで途切れており、歩行者用の散歩道が続いていた。
開けているその場所は、木々の植え込みを囲みベンチが置いてあって、緑豊かな休憩スペースも兼ねている。
日曜日の今日は露天商やストリートミュージシャンなどが集まって、賑やかさに華を添えている。

もう少し歩くと大きな公園があるが、そちらにはなるべく行きたくない。

そこには、私とHARUとの思い出が落ちているから
今はまだ、行きたいとは思えない。


「仕事の前なのに、呼び出してごめんね」

そう言いながら、横を歩いていた景斗は、きょろきょろと辺りを見回す。
ちょっと待っててと、見つけた自販機へ小走りに駆け寄ると、缶を2つ持って戻ってきた。

「熱いから、気をつけて」
「ありがとう」

ホットのカフェオレ。受け取った私は近くの空いているベンチへ腰を下ろした。
そのあとに続いて、景斗が私の横へと座る。

「景斗の方こそ、朝苦手なんでしょ? 日曜日くらいゆっくり寝てたかったんじゃないの?」
「まぁ、朝っていっても平日は普通に働いてる時間だし、大丈夫だよ」
見上げた私に、景斗は軽く笑って頭をかいた。

今日のシフトは昼からラストまで。
仕事を上がる時間が遅くなると言ったら、それなら午前中に会えないかと言ってきた。
わざわざ無理な時間を指定してまで、景斗が私に会わなければならない理由ってなんだろう。
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